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天の食楽

山中湖の天然うなぎ


天の食楽 山中湖の天然うなぎ

山中湖の天然うなぎ

天然うなぎイメージ

湖の表層に針を流す“うなぎ漁”

山中湖といえばワカサギが有名だが、鮒、鯉、ナマズ、ブラックバスなど、実はいろいろな魚がいる。うなぎもその一つ。古くから自生していて、地元ではぶつ切りにして甘辛く煮るなどして食べられていたという。今でも大きくて脂の乗った上物が獲れると聞き、柘植隆恒さんのうなぎ漁に同行させてもらった。
夏の終わりの山中湖。日差しは強いが、風はもう秋の薫り。「うなぎは夜行性だから、夜の間に活動する。だから仕掛けは前日。それを湖が穏やかな朝のうちに回収するんです。昨日のうちに仕掛けておいたから、今から回収に行きましょう」と柘植さん。モーターボートに乗り込み、湖上を進む。
山中湖のうなぎ漁は、長いロープに仕込まれたたくさんの針に餌をつけ、湖上で風に乗せて流す“流し針”。一般的には、“はえなわ” と呼ばれている方法だ。「うなぎは割と浅い場所に生息しているから、湖面に近いところを上手くはわせるのがコツだね」。エサは、小さい魚やミミズ、ワカサギを使うこともあるという。
エンジンが止まった。「じゃあ、始めるからね」。湖面浮かぶブイを手繰り寄せ、ロープをひっぱって、引き上げる。「今日はかかってないねぇ」。気落ちした様子も見せず、柘植さんがつぶやく。しばらく引いたところで、水しぶきが上がった。「お、いたいた。大きいといいけど」。
淡々とロープを引き上げる柘植さん。全長1 メートルはあろうかといううなぎが、元気な姿を現した。

うなぎ漁

今や幻の味になりつつある、山中湖の天然ウナギ

この日、柘植さんが引き上げた仕掛けは2 本。それぞれ、100m ほどのロープに約50 本の針がついている。掛かっていたのは、大小2 匹のうなぎとにごい、それにブラックバス。この釣果を、「まあまあだね」と、柘植さん。「うちはオヤジの代からの漁師だけれど、うなぎは年々獲れなくなっている。今獲れるのは、年間100 匹程度。湖が汚れていることと、無関係じゃないだろうね。昔はびっくりするくらい太くて大きなウナギがよく獲れたらしいけれど、今じゃ滅多にお目にかからないし、漁師もほんの少しになってしまった。まあ、こんなふうに言っている俺も、本業は土産屋。漁は半分趣味みたいなものだからね」。そういいながら、大きい方のうなぎだけいけすに残し、小さいほうのうなぎは湖に帰してやっている。「獲るのは大きいのだけ。小さいのまで獲ってしまっていたら、近い将来、山中湖からうなぎはいなくなってしまうからね」。残したうなぎは、湖畔の割烹旅館 芳野に卸すという。

柘植さん
山中湖のうなぎ漁を案内してくれた柘植さん。長年の経験でうなぎの仕掛けを仕込む。

一番おいしいのは、脂が乗った秋口

割烹旅館 芳野では、料理自慢の3 代目ご主人 山本和則さんが、生きたままさばき、丁寧に料理した山中湖の天然うなぎを味わうことができる。
「天然のうなぎは、養殖ものとはまったく違います。通常、養殖のうなぎは半年で市場に出回るのに対し、天然物は何年も湖の中で新鮮なワカサギや小魚を食べ、たっぷりと運動して育つため、ギュッと肉が詰まっています。しかも大きくて、パワーもある。以前持ち込まれた中には、1.4kg を超える大物もいて、『これは主かもね』なんてみんなで話した程です。地元では、『山中湖のうなぎはまずい』なんて言う人がいますが、それは料理法を知らないから。肉厚の身に脂がたっぷりとのっていて、かば焼きにしても、他の料理に使っても、絶品ですよ」。なんだかよだれが出てしまう。宿泊せず食事だけでも提供してもらえると聞き、ぜひ一度味わってみたいものだとうな重をお願いしたところ、「今日はあいにくと仕入れができなくて。天然物だけに、いつもあるとは限らないのです。うなぎは真冬を除いていつでも獲れますが、一番おいしいのは秋口です。よいものが入荷したらご連絡しますので、ぜひまたいらしてください」とのことだった。

ご主人の山本さん
落ち着いた割烹旅館 芳野 天然うなぎに魅せられたリピーター客も多い。ご主人の山本さん

一度食べたらやみつきになる味

そこで、9 月中旬、改めて割烹旅館 芳野を訪れた。玄関を入ると、すでに芳しい香りが漂っている。落ち着いた雰囲気のお座敷に案内され待っていると、女将さんが重箱とお椀の乗ったお盆を持って入ってきた。うーんいい香り。ふたを開けて、驚いた。肉厚のかば焼きが、重箱からはみ出しているではないか。通常の何倍もありそうな、すごいボリューム。さっそく口に運ぶ。とたんに口中に広がる、うなぎの旨味。適度な歯ごたえがあり、しっかりと脂がのっていて、“ウマイ!”。うなぎ特有の臭みも、全くない。さらに、肝吸いをいただいてまたびっくり。肝がとにかく大きいのだ。そして、これまたウマイ!このうなぎを食べるためだけに、東京から足を運ぶお客様がいるというのも納得だ。
「うなぎ漁は4 月中旬以降に始まり、10 月いっぱい位まで。なので、その間にできるだけたくさん仕入れて、庭の生簀で飼ってはいるのですが、それでも1 月の終わり頃には使いきってしまいます。だから、どうしても4 月中旬~ 1 月いっぱいくらいまでの期間限定になってしまうんですね」と山本さん。宿泊者の夕食には天然うなぎのかば焼きがつく他、プラス料金でうなぎコースを楽しんだり、お昼にうな重を予約することもできるが、「うなぎをさばいてかば焼きにするまで、最低でも2 時間はかかるため、ランチをご希望のお客様には、遅くても、その日の朝までにはご連絡を頂きたいですね」とのこと。値段は時価(4000 円~ 6000 円)だが、一度食べてみる値打ちはおおいにある。

うな重

仕切り線

●割烹旅館 芳野
山梨県南都留郡山中湖村山中865-338
TEL・FAX:0555-62-0823

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