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天の食楽

原木なめこ&原木しいたけ


天の食楽 原木なめこ&原木しいたけ

原木なめこ&原木しいたけ

原木なめこ写真

ぬめりも味も一味違う原木なめこ

キノコは代表的な秋の味覚のひとつ。とはいえ、栽培技術の普及により、一年を通じて楽しめるキノコも増えている。なめこやシイタケは、その代表格と言えるだろう。「なめこ」と聞いて、ビニール袋入りの、黄色くて粘り気のある小さなキノコの姿を思い浮かべる人は多いはず。ところが、本栖湖で出会ったなめこは、かなり違っていた。
「スーパーなんかでよく見かけるなめこは、菌床(きんしょう)。うちのは原木だからね、ぬめりも味も全然違うよ」と胸を張る『本栖しいたけ・なめこ組合』の渡辺光彦組合長。渡辺さんの言う菌床とは、広葉樹のおがくずと米糠などの栄養源を混ぜ固めた培土に、菌を植えつけて栽培する菌床栽培のこと。対して、原木は原木栽培のことで、天然の木を用いてキノコを栽培する。本栖湖の周辺では、富士山の豊かな自然を利用したキノコの原木栽培が、あちらこちらで行われているという。

天然の木を用いてキノコを栽培

さっそく、原木栽培が行われている場所へと案内してもらった。そこは、鬱蒼とした樹海のなか。木漏れ日が気持ちいい。「種菌は春、その年の気候にもよるけど、だいだい4 月中にはするね。そうすると、秋に発芽する。露地栽培だから気温次第ってところもあるけれど、発芽してから1 週間以上、時間をかけて、じわじわと大きくなっていく。だから、味も香りも良くなるし、歯ごたえもしっかりとしたなめこができるんだよ」と渡辺さん。地元で育った木でないとキノコがうまく育たないため、原木には、富士山麓の間伐材を利用している。「使うのは広葉樹。オオバモミジやミネといった柔らかい木がいいね。キノコは朽ちた木が好きだから、伐採後3 年間くらいは森の中に寝かせてから種菌するとうまくいくんだよね」。一本の原木から収穫できる量は、一年に1~2 kg 程度とけっして多くはないが、一度菌が根付けば、10 年以上も生え続けるという。
「ほらあった、それが原木なめこだよ」。視線を落とすと、地面に整然と並べられた丸太から、株になって生えている。あっちにもこっちにも、小さいものから大きなものまでサイズもまちまち…。どれも、茶色い頭に黄土色の茎をしていて、絵にかいたような姿がとてもかわいい。それを、一株一株、優しく丁寧に収穫していく。「なめこは、秋が旬。そりゃあ何と言ってもミソ汁が一番美味いけど、キャベツと一緒にサッと油で炒め、醤油で味付けて、ご飯と一緒に食べるのもいいね。うまいよ。今夜、試してみたら?」。そう言って渡してくれた原木なめこは、粘り気のあるプルンとした膜を身にまとっていた。

渡辺光彦組合長01 渡辺光彦組合長02
本栖しいたけ・なめこ組合の渡辺光彦組合長
原木なめこプルンとした色鮮やかな原木なめこ。見るからにおいしそう!

手を掛けたら掛けただけ応えてくれるシイタケ

渡辺さんはシイタケも原木栽培しているということで、そちらも見せてもらうことになった。
案内してもらったのはなめことは別の林。斜めに組んだ原木のあちこちから、シイタケが元気な顔を見せている。なかには、直径20 ㎝近くもありそうな、巨大シイタケの姿も…。「なめこもそうだけど、シイタケも、自然のなかでじっくりと時間を掛けて大きくなるんだよ。シイタケの場合は、発芽から早くて2 週間。じわじわと育つから、肉厚のシイタケになるんだよね」と渡辺さん。「キノコは生き物だから、放って置いたんじゃ良いものはできない。とりわけシイタケはデリケートで、雨が降ったり、気温が上がったりすると、急激に大きくなっちゃう。でも、手を掛けたら掛けただけ応えてくれるから、やりがいもあるね」。松を使うとマツヤニの匂いが残るなど、原木の種類によって味も変わるそうで、「シイタケには、ミズナラの木が一番。太いほうが栄養があるせいか、良いものが作れるよね」。収穫期は、春と秋の2 回。実は、秋より春の方が美味しいのだという。
渡辺さんによれば、本栖でシイタケ栽培が始まったのは、明治40 年頃のこと。その頃は、霧吹きで菌を吹きかけるだけで、シイタケが生えてきたのだという。「今は、原木に穴をあけ、菌を埋め込んで、蝋でふたをしてやらないとうまく行かない。こんな森の中だけど、雑菌が増えているらしくてね。自然界にも変化が起きているんだなぁと思うよね」。しみじみ語った渡辺さん。視線の先に広がる森では、色付き始めた木々が秋風に揺れていた。

シイタケ原木栽培01

シイタケ原木栽培02

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●本栖湖観光協会
TEL : 0555-87-2518(12~3 月休業)
本栖の原木きのこは、シーズンになると本栖湖周辺の売店やレストランで食べることができます。

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