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天の食楽

富士北麓の鹿カレー


富士北麓の鹿カレー

鹿カレー

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野生鳥獣を美味しく食べるジビエ料理

ジビエ(gibier)とは、食用にするために狩りで捕獲した野生鳥獣を指すフランス語。フランスでは、ジビエは秋から冬にかけての代表的かつ非常に身近な食材で、家庭料理でも、高級フランス料理にも、マガモやアヒル、ヤマウズラ、野うさぎ、鹿、イノシシなど、様々なジビエが使われるという。近年、このジビエを、本栖湖周辺でも味わえるようになった。
「温暖化の影響でニホンジカが増え、森の草木を食い荒らすものだから、木々が枯れたり山の生態系が狂ったりする獣害が、日本各地で大きな問題になっています。富士北麓も例外ではなく、獣害は深刻です。それをなんとかしようと、山梨県は管理捕獲に力を入れていて、その結果、1年に何百頭ものシカが捕獲されている。じゃあ、そのシカを有効利用する方法はないかということで考え出したのがジビエ料理なんですよ」と話すのは、山梨県ジビエ活用協議会の滝口雅博さん。滝口さんは、狩猟歴40 年のベテランハンター。

愛犬の紀州犬と山梨県ジビエ活用協議会の滝口雅博さん。

「うちはオヤジもハンターだったから、ハンターになるのは小さい頃からの憧れでね。猟に出るようになったのは、20 歳の頃。若い頃はライフルを持って北海道にも通いましたよ。まあ、当時は腕が未熟で、身体の大きなエゾジカを仕留めることはなかなかできなかったんだけれど、そのかわり、現地の人から解体技術を教えてもらってね」。その技術を活かし、自身が経営する本栖湖畔の民宿・レストラン「松風」で30 年以上も前から、自ら捕獲してきた野生鳥獣を使った料理を提供してきた。現在は、本業も然ることながら、富士河口湖町のジビエ食肉加工施設の所長として、ハンターが持ちこむシカの解体処理も行っているという。「ハンターさんは獲ったその場で血抜きをして処理場に持ち込むから、まずは内臓を摘出し、皮を剥く。そこまででだいたい1 時間。この状態で3 ~ 4 日熟成させます。その後、骨を外し、前足、背ロース、モモ、細切れといった具合に部位別に分けて真空パックにして貯蔵する。この作業におよそ2 時間。そんなわけで、のべ3 時間程度で1 頭のシカを処理することができるんですね」。自分で獲って、自分で処理して、自分で料理する。まさに、一人3 役の大奮闘。さぞや大変だろうと思いきや、「適正に処理した野生鳥獣は、旨味が豊富な、最高の食材。それを何とか多くの人にわかってもらって、ジビエ料理を普及させたいと思っているんですよ」と笑顔を見せる滝口さん。話すほどに、ジビエに掛ける熱い想いがひしひしと伝わってくる。

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こんな良いイノシシはなかなか捕れないよ。昨日仕留めたイノシシを見せてくれた。
店内にも鹿の角が飾ってある。

富士北麓の自然が育むニホンジカは、
世界最高峰のジビエと言われるエゾジカにも劣らない
最高の肉質を持っている。

そんな滝口さんに、ジビエの魅力を聞いてみた。「人間によって飼育された肉は、飼料にしても運動にしても、徹底的に管理されているから、常に同じ味わいが生まれる。基本的には、いつ、どこで食べても同じ味であり、肉質であるわけです。それはそれでいいのですが、野生鳥獣というのは、自由に自然の中で生きているものだから、捕獲された場所で味はまったく違うし、同じ場所でもその年によって違う。たとえば、どんぐりや栗、胡桃、ブナの実、グズバの根など、秋の実りが豊かであれば、非常に良い肉になるし、森の状態が悪ければ、肉も悪くなる。秋の森の状態を見れば、その年の肉の状態はだいたいわかります。さらに極端な例では、イノシシ。肉を見れば、何を食べていたかがわかるんですよ。脂身が豊富で甘味があればドングリ、脂身が黄色っぽいと、クルミやブナを食べていたんだなって。そこが最高の魅力ですね」。滝口さんによれば、樹海の中に一年中エサがあり、春~秋には富士ヶ嶺の牧草をたらふく食べて育つ富士北麓のシカは、サイズが大きく、1 頭80 キログラムを超えるものも少なくない。それだけに、肉には脂が乗っていて、「モモの一番良い所は、霜ふりになっていることもありますからね。料理人の世界では、エゾジカが世界最高峰のシカ肉だなんて言われていますが、私はむしろこの辺りのシカの方が美味しいんじゃないかと思っているんですよ」。

食べるほどに、作り手のプライドが伝わってくる、渾身のシカ肉料理

鹿カレーイメージ04自慢の鹿カレーに鹿の唐揚げ、燻製ソーセージと鹿のたたき。

独特の獣臭さがあると言われるジビエだが、滝口さんは処理の仕方次第で誰でも美味しく食べられるという。「そりゃあ、なかにはどうしてもだめって人もいるだろうけれど、10 人が食べたら9人が美味しいって言ってくれるようにと思って、解体もしているし、料理もしている。それだけのプライドを持って、美味しい肉を出しているつもりです。せっかく来たんだから、ぜひ食べて行ってくださいよ」。そう言って、厨房へと姿を消した滝口さん。しばらくすると、鹿カレーセットが運ばれてきた。香ばしいカレーの香りが食欲を誘う。とはいえ、シカ肉をいただくのは初めて。本当に美味しいのかなぁと不安も残る。恐る恐る肉を口に入れてみた。あれ?美味しい!臭みなんてまったくない。柔らかくて、とてもさっぱりとしている。続いてシカソーセージをパクリ。こちらも美味!次に唐揚げ。さっぱりとしていて、ちょっとクジラ肉にも似ている。最後に、ローストビーフのようなたたきもいただいてみる。しっとりと柔らかく、箸が進む。多分、前もってシカ肉だと言われてなければ、牛だと思ってしまっただろう。それほど、違和感がなく、ただただ美味しいのだ。

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とても美しい肉質のイノシシ。 絶品イノシシのすき焼き。

夢中になって食べていたら、滝口さんがすき焼きなべを手に現れた。「どうです?お口にあいましたか?」あうとかあわないとか、そんなレベルじゃない!「とっても美味しいです」と答えると、「こっちも試していって」と鍋をコンロにセットしてくれた。イノシシのすき焼きだと言う。イノシシは味噌仕立てにする牡丹鍋が一般的だが、「それは、味噌には肉を柔らかくしたり、匂いを消したりする効果があるものだから、それを利用して、硬くて臭いイノシシの肉を食べるという昔ながらの知恵。うちのイノシシ肉は柔らかくて臭いもないから、味噌仕立てにする必要がないんですよ」とのこと。実際にいただいたところ、なるほど、嫌な臭みはまったくないし、程良く脂の乗った肉は柔らかく、かといってしつこい感じもせず、とても美味しい。ほんのり甘いわりしたとの相性も抜群で、ボリューム満点のカレーセットの後だというのに、すっかり平らげてしまった。「シカ肉は、高タンパクで鉄分も多く、アミノ酸やミネラルのバランスも良いのに、低脂肪、低コレステロール、低カロリーという、理想的な食材。しかも、消化時間も野菜並みに早いので、胃への負担も少ないと言われます。ヘルシー志向の女性や高齢者の方にも、どんどん召し上がっていただきたいですね」と滝口さん。実は、滝口さんのシカ肉は、昨年から、東京・日本橋のY-Wine ~ワイワイ~のメニューにも採用されていて、シカ肉のステーキやハンバーグ、煮込みといった料理が、東京のお客さんにも好評を得ているという。「ワイワイは、田崎真也さんがプロデュースしている店。山梨の食材のなかでも一流のものしか使っていません。そういう一流の料理人が認めてくれたってことがすごく嬉しいし、最高の励みになっているんだよね」。最後に、少年のような笑顔を見せてくれた滝口さん。その横顔は、ジビエ料理への自信と充実感にあふれていた。

鹿カレーイメージ06滝口さんが本栖湖で釣ったヒメマス料理も自慢のジビエ料理。

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鹿カレーは、本栖湖・精進湖周辺のレストランや民宿で味わえます。

●松風(民宿・レストラン)
南都留郡富士河口湖町本栖120-1 TEL 0555-87-2501
鹿カレーセット(唐揚げ、燻製、たたきがセットになっています) 1000円
イノシシのすき焼き 1人前2000円~
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●山梨の食とワインの発信地 レストラン Y-wine(わいわい)
東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル2階
TEL 03-3527-9185
営業時間 ランチ11:30~16:00
ディナー(月~金)17:00~22:00 (土)17:00~21:30
日・祝定休
http://www.tasaki-shinya.com/restaurant/restaurant.html
http://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/topics/restaurant_y-wine.html

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