楽しさ満載の富士山・富士五湖エリア。みんなで一緒に思いっきり遊ぼう!

富士山巡礼の旅

山中湖


十の巡礼山中湖

冠雪の富士山を鏡のように映し出す山中湖(平野地区)
冠雪の富士山を鏡のように映し出す山中湖(平野地区)

忍野から、ハリモミ純林をぬけ
ダイヤモンドに輝く山中湖へ

富士山の雲が切れてくれることを願いながら、忍野村から山中湖へ向かった。途中、両側に「山中のハリモミ純林」が広がる道を通る。クリスマスツリーのカタチをした濃い緑色の樹々が、厳冬期の空気のなかで蒼色をして見えた。
知らなければ、ただ山麓の森の一部かと通り過ぎてしまいそうだが、このハリモミは日本固有種のモミ。さらに純林としては約3万本、全国的にも貴重な森が一帯に残されている。富士山から噴き出した溶岩流のなかでも孤立して広がった「丸尾溶岩流」の上に自生して形成されたものだという。その存在を知ったのは、ある年の夏、富士山麓周辺の「東海自然歩道」を歩いてみた時のことだった。1都2府8県にまたがり延びる東海自然歩道は、山梨県では、ここ山中湖から富士山麓一帯を通り、西湖周辺の樹海の森のなかや、紅葉台から足和田山へ抜ける絶景の眺望コースなど、見どころが多く、自然歩道のなかではもっとも手軽にスケールの大きな自然を楽しめるコースなのだ。

雪に覆われたハリモミ純林地帯
雪に覆われたハリモミ純林地帯

純林のあいだの道を抜けると、今度は広大な「花の都公園」が広がって見えてくる。その向こう、まず雄大な富士山がその姿をあらわし、それから、しばらく行くと大きな山中湖が見えてくる。
富士山をバックに水辺に遊ぶ白鳥たちを見ると、あぁ山中湖だな~、という気分になる。ただその湖水はいつもと違っていた。岸辺近くは、まるで流氷がうちつける海岸のようだった。
湖水が凍り、割れた氷片がうちつけ、ぶつかりあいながら音をたてているのだ。今まで見たこともない山中湖の様子に、この季節だけに湖畔から見える「ダイヤモンド富士」への期待が高まってきた。ダイヤモンド富士を見られるポイントは、10月中旬、山中湖のパノラマ台からはじまり湖畔を巡り、この花の都で折り返し2月末のパノラマ台で終わる。“ポイント”は、太陽の軌道によって山中湖畔周辺を移動している。特に1月末から始まる冬の湖畔のダイヤモンド富士にはたくさんのダイヤモンド富士ファンが全国から集まる。

山中湖を象徴する白鳥たち
山中湖を象徴する白鳥たち
きらきらと輝く湖面と白鳥
きらきらと輝く湖面と白鳥

富士五湖一の大きな湖の
古きと新しき、にぎわいと静けさ

日没のダイヤモンド富士を待つあいだ、富士五湖のなかで一番おおきな湖畔をぐるりと巡ってみる。
新旧のリゾート施設がびっしり、という感じで入り交じり、古くから保養地として発展してきた山中湖らしい、華やかなにぎわいがあった。山中湖畔は、大きく4つの地区にわかれ(山中地区、旭日丘、平野、長池地区)、それぞれのエリアが特徴的なリゾート地を形成し、また表情のまったく異なる湖と富士山の眺望や、水辺での楽しみ方ができる。
それだけでなく、山中湖に深みをもたらしているのが、古くからの歴史風物が今も同時に残っていることだった。

「安産祭り」で有名な山中諏訪神社
「安産祭り」で有名な山中諏訪神
山中湖浅間神社
山中浅間神社

山中地区の湖畔から一歩入った場所に、旧鎌倉往還の古道が通り、そこだけ空気ががらりと変わるのがわかった。古い並木道から続く場所には、立派な鎮守の森がひろがり、そこに「山中諏訪神社」が座している。
この神社は、地元では富士山を信仰する浅間神社より古い起源をもち、主祭神の豊玉姫命にちなんだ「安産祭り」は全国的にも有名なものとなっている。そんな通称「山中明神さま」が、「山中浅間神社」と隣あわせに赤い橋でつながっている。
なんとも神霊な気配に満ちていて不思議な感覚になった。

人気のドーム船でのワカサギ釣りの他、平野地区で湖面が凍結すると穴釣りも楽しめる。
人気のドーム船でのワカサギ釣りの他、
平野地区で湖面が凍結すると穴釣りも楽しめる。
透明な蒼いガラスを彷彿とさせる湖面
透明な蒼いガラスを彷彿とさせる湖面

さらに山中湖を自然という側面から見れば、富士五湖中もっとも標高の高い位置にあり、いちばん大きく、いちばん寒い。だからこそ、この季節、大きな湖面がまるで蒼い透明なガラスのように氷つく。そして冬の風物詩でもある氷上でのワカサギの穴釣りも楽しむことができる。
エリアが広いというだけでなく、一日あっても巡りきれない。さまざまな要素が重層的ににつまっていて、見る角度からまったく違った印象が残る。それが山中湖の魅力ではないだろうか。

山中湖文学の森
山中湖文学の森

湖畔で出逢える、日本文学者たちがしるした足跡
「山中湖文学の森」

富士山と太陽の位置からすると日没までは、まだもう少しある。なんとなく山中湖の文化に触れる場所で、ゆっくり時を待ちたい気がして、思いついたのが、「山中湖文学の森」だった。
山中湖になぜ、「三島由紀夫文学館」が?と思う人はきっと多いはず。その経緯は公共機関での資料の保存を希望されていたご遺族の意向と、「山中湖文学の森」という施設建設の構想が一致し、この静かな湖畔の公園に、三島由紀夫の文学館が建設された。
三島由紀夫の文学に魅せられた人々には聖地のような場所ではなかろうか。貴重な初版本の約100冊に及ぶコレクションや、代表作の直筆原稿、取材ノートなど、また、三島の書斎も当時の愛用品も含め再現されている。決して広くはないけれど、三島文学の宝の小箱のような館だ。
山中湖が構成資産になった今になってみると、“世界のミシマ”にふさわしい場所といえるのかもしれない。印象に残ったのは、その見たこともないほど端正で美しい筆跡だ。細さにこだわったような、女性的な線で、一文字一文字これほど丁寧に、美意識をもって埋めていく作家の内面に触れてしまったような気がして、やけにどきりとした。
この自然豊かな公園内には山中湖にゆかりある「徳富蘇峰(とくとみ そほう)館」もある。徳富蘇峰は、明治•大正•昭和と3つの時代を、思想家、言論人として生き、近代日本に大きな影響を与え、巨人といわれた人だ。ここ山中湖には山荘を構え、大著『近世日本国民史』を執筆してもいた。まさに激しく変遷する時代の日本とともにあった生涯は一言で語れるものではないけれど、自然を愛するナチュラリストでもあったらしい。戦後、晩年の生活は穏やかなもので、交流のあった写真家の岡田紅陽が撮って見せてくれる新作の富士山を見るのを楽しみにしていたという。今の「旭日丘」という地名の命名者でもある。

世界遺産になった富士山。そして、ただそこにある自然が造り出した偉大な風景を求めて、たくさんの人が集まる平和な風景を、二人の巨人は、今どんな思いで見つめているのだろう。

旭日丘-夕焼けの渚
旭日丘 夕焼けの渚

日本人として
「ダイヤモンド富士」の前に立ってみる

いつから、ダイヤモンド富士と呼ばれるようになったのか、それは、日没か日の出の時に太陽の軌道によって、富士山頂と太陽がぴたりと重なる瞬間のことであり、“現象”である。
その現象が、最も長い期間にわたって見られ(10月中旬~2月までの約4ヶ月間)、しかも最も間近で見られるのが山中湖なのだ。そのため、いつからか“ダイヤモンド富士の聖地”と呼ばれるようになった。
その時間が近づくほど、湖畔でひたすら心待ちにしている人たちの心が伝わるかのように、あたりの空気や湖の水面まで、ざわめき波打つように感じられた。
実際にこの場所にたってみるまでは、ダイヤモンドという言葉にもよる、ある一つのブームなのではないかと思っていたこともあった。
でも、ふと思ったのは、たとえば他の国の人なら、これほどまでに夢中になり、広がるものだろうか。山頂からの御来光にしてもそうだけれど、わたしたち日本人にとって、ただ美しい風景ということではない気がする。
太古の神話の物語をひもといてみても、日本人は太陽を生命のすべてを天照らす存在として仰ぎ、その天に向かい伸びる山をカムナビ山としたり、女神のカラダに見立てたり、また天への梯子と考えていたことがわかる。
山は高いほど、すそ野が広いほど素晴らしく、そして、その太陽と山という、二つの異質な神が結ばれる瞬間を、人間の結婚に例え、特別な現象として見ていたことがわかる。そのとき、自分の心の内側に動くものはなんだろう。この豊かな自然の島国に生まれた民俗としての遺伝子が、ゆり動かされ目覚める瞬間かもしれない。

午後4時、待ちにまったダイヤモンド富士が始まった。周りから歓声が上がる。ダイヤモンドの輝きは、ほんの一瞬。太陽はあっという間に富士山に吸い込まれてしまった。
富士山の向こうに陽が沈むと、突然空気が入れ替わりヒンヤリとしてくる。湖面は静けさを取り戻し富士山が優しく微笑んでいるような気がした。
ダイヤモンド富士は、めぐる人生の素晴らしさを思いおこさせてくれる。

ダイヤモンド富士 大池付近
ダイヤモンド富士 大池付近
ダイヤモンド富士の瞬間が見える動画はこちら
ダイヤモンド富士の瞬間が見える動画はこちら

 

山中湖イラスト
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山中湖観光協会
住 所:山梨県南都留郡山中湖村平野506-296
TEL:0555-62-3100 http://www.yamanakako.gr.jp

山中湖文学の森《三島由紀夫文学館・徳富蘇峰館》
住 所:山梨県南都留郡山中湖村平野506-296

三島由紀夫文学館
TEL:0555-20-2655
http://www.mishimayukio.jp

徳富蘇峰館
TEL:0555-20-2633
http://www.mishimayukio.jp
開館時間  10:00~16:30 ※但し入館は16:00迄
◆休館日  毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合はその翌日)
12月29日~1月3日 ※ゴールデンウィーク期間(4月28日~5月6日)は開館
■入館料  一般    500円(団体450円/身障者250円)
高・大学生  300円(団体250円/身障者150円)
小・中学生  100円(団体 50円/身障者 50円)
小学生未満 無料
※入館料は、三島由紀夫文学館と徳富蘇峰館との共通券料金
※団体割引料金は10名様以上
※身障者の方は身障者手帳を提示

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