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特集

富士講


お江戸と富士をつないだ

知るともっと楽しくなる、富士講と庶民信仰の歴史

旅は道連れ、日常から飛び出して仲間と行く旅の楽しさは、いつの時代も変わりません。富士山への登拝は、体力、気力の限界にまで挑む厳しい宗教的な体験でしたが、山登りまでの長い道中は、珍しい風景や名物を味わう楽しい旅でもありました。「江戸八百八講」と言われるくらい、たくさんの江戸庶民が講を組んでは富士山を目指しました。もちろん江戸時代には、現在のような自由な旅が許されていたわけではありませんが、先達に導かれた白装束の道者達が次々と列をなしたといわれます。甲州街道から東海道から、いくつもの富士道をたどって訪れる登山客を迎えたのが富士吉田の町でした。

北口本宮冨士浅間神社
北口本宮冨士浅間神社
富士山信仰の聖地として栄えた神社としての風格を感じさせる佇まい。毎年6月30日にはお道開きの神事が境内の登山門で行われる。3つの本殿は、ともに国重要文化財に指定された見応え十分の建築物。
●富士吉田市上吉田5558●0555-22-0221

霊峰・富士山は信仰のお山

日本一の富士山は、古来から「霊峰」と呼ばれる信仰の山。死者の魂は山に還るという「山上他界」の在来信仰を基盤に、神道、また密教や道教の流れをくむ修験者により信仰が広められ、山頂に至るまでいくつもの霊場が開かれてきました。また詩歌や絵画にも取り上げられ、日本人の美意識の原点のひとつともなってきました。祭神の木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祀る浅間神社は、山頂はもちろん、富士吉田市内の北口本宮冨士浅間神社や小室浅間神社、また周辺の富士河口湖町や富士宮市にもあり、信仰の地域的な広がりを感じさせます。

現在の富士講につながる流れは、江戸時代初期(17世紀前半)に開祖・長谷川角行が山中で修行を重ね崇敬を集め、 保期(18世紀前半)以降、その流れをくむ村上光清、食行身禄の積極的な布教により一般に広まったとされます。とりわけ富士山中で入定(即身成仏)した食行身禄の宗教的情熱はその弟子達により広く流布され大きな勢力となりました。登山口のある北口本宮冨士浅間神社付近は多くの登拝客を集め、夏の登山期には大いににぎわいました。

江戸庶民が講を組んで登拝

「江戸八百八講、講中八万人」とは、江戸の町の数ほどたくさんの富士講があったことの例え。江戸時代の文化・文政期(19世紀初期)に隆盛を迎えた富士講は、「富士を拝み、富士山霊に帰依し心願を唱え、報恩感謝する」という分かり易い、一種の新興宗教のブームのようなものでした。食行身禄の弟子・高田藤四郎が起こした「身禄同行」という講社が始まりとされます。白装束に金剛杖で六根清浄を唱えながら進む行者一行は、富士に至るまで折々の禊場で身を浄め、登拝にあたりまず北口本宮冨士浅間神社に参拝、下山してからも富士講八海巡り(仙水、山中湖、明見湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖、四尾連湖)などの修行を重ねました。講中の代表として参詣する代参という形をとり、通常行けない庶民が信仰の対象としたのが、近くに造られた「富士塚」。今でも都内で見かけるミニ富士山です。なかには、小さな山頂から本物の富士山が遠望できたものもありました。
明治以降、神仏分離令や国家神道の台頭により、丸山教のような新興宗教、扶桑教のような教派神道に一部は発展しましたが、戦後は、富士山周辺の観光地化、登山のレジャー化にともない、宗教的な登拝は薄れてきました。

上吉田宿三月

▲上吉田宿 画題に「上吉田宿三月」とある。上吉田は富士北口本宮浅間神社を擁し、御師の町として富士登拝信仰で栄えた。

富士講

富士吉田に残る御師の宿坊

大きな「金鳥居」が神聖な富士山と俗界を分つように立つ上吉田、富士山に一直線に延びる表参道の界隈が、かつて「御師(おし)の町」と言われ賑わいを見せていたエリアです。御師とは、富士山を信仰の対象とし、富士山への登拝客の宿泊の賄い、また山小屋や強力の斡旋を職とした人のことです。宿坊は「御師の家」と呼ばれ、「大雁丸」「大注連」「浅間坊」など屋号も独特で、普通の民家、商家とは大きく違った構えをしていました。宿泊、賄いの空間に、富士の神々、富士講の開祖が大切に祀られています。
御師は、特別の宗教的修行を積み重ね、一般庶民からも崇敬を集める存在であり、御師株を持って代々職を継いできました。江戸市中はじめ関東一円に広がる講客に折々に護符を届け、講を組織するツアーガイド的な役割も重ね持っていました。富士講の最盛期は、江戸末期から明治初期にかけて、当時は86軒もの御師宿坊が軒を連ね賑わいを競っていました。

御師旧外川家住宅
御師旧外川家住宅
富士山の御師をしていた外川家を修復保存した学習施設。
御師の実態や富士信仰を総合的に学ぶことができる。
●富士吉田市上吉田3-14-8
●火曜日休館(祝日の場合はその翌日)
●9:30〜17:00(入館は16:30まで)
●入館料/大人100円(80円)、小中高生50円(40円)
※( )内は20名以上の団体割引料
●0555-22-1101
富士吉田市歴史民俗博物館
富士吉田市歴史民俗博物館
富士山をメインテーマとした博物館。展示室では、市の考古、歴史、民俗がジオラマなどを使って紹介されています。敷地内には、富士山を信仰の山と崇めた「道者」たちの宿坊「御師住宅」が復原され、信仰登山でまちが賑わった時代を偲ばせます。富士山や地域に関わる企画展や講座なども開催。
●富士吉田市上吉田2288-1
●0555-24-2411

 

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